「良いFAQの書き方 ──ユーザーの「わからない」を解決するための文章術」を読んだ感想
とあるWebサービスを開発しており、FAQを作成することになりました。 「FAQってどうやって作り始めたら良いんだ……?」と悩んでいたところ、掲題の書籍の存在を知り、さっそく読んでみました。 本記事では、読んだ感想をご紹介します。
おすすめの方
- FAQを初めて作成する方
- FAQの作成や管理に関わっている方
- FAQに興味がある方
書籍の紹介
概要
良いFAQは,ユーザーに見つけやすく,そしてわからないことを的確に解決し,満足度を向上させます。また,それはコールセンターにおけるコストの削減につながります。コールセンター内でも,良いFAQを活用すれば短時間でユーザーの疑問を解決できるなど,ストレス軽減やコストダウンを助けます。本書はFAQの書き方を解説した書籍です。筆者の長年にわたるFAQ作成と運営の経験を活かし,「なぜそう表現すると見つけやすくユーザーの課題を解決しやすいのか」「なぜこれだとユーザーは離脱してしまうのか」などを理論的・具体的に解説しています。FAQの改善前・改善後の例を豊富に用意しているので,本書を読めば良いFAQの書き方が身に付くはずです。さらに,FAQシステムの有効活用についてや,ユーザーのアクセス履歴などを分析してFAQを改善する手法も解説します。
https://gihyo.jp/book/2021/978-4-297-12257-7
目次
- 第1章:FAQはなぜ重要なのか
- 第2章:FAQを書くための基礎知識
- 第3章:Qの書き方
- 第4章:Aの書き方
- 第5章:FAQのガイドラインの作り方
- 第6章:FAQのカテゴリの作り方
- 第7章:FAQの分析とメンテナンス
- 第8章:FAQ制作者が知っておくべきFAQシステムのしくみ
さらに詳しい目次は、公式サイトの「目次」をご覧ください。
感想
全体
- これからFAQを作成する私にとって、ぴったりな本だった
- Qの文の書き方が分かる
- Aの文の書き方が分かる
- 1~4章が特に参考になる
- 最初に大切な骨子の説明があり、あとで肉付けする説明になっている印象で、分かりやすかった
- 全体的にBefore/Afterの例題がたくさんあり、参考になった
- FAQを作って終わりではなく、FAQを改善し続ける重要性を学べた
第1章:FAQはなぜ重要なのか
FAQの存在意義、FAQがあると何が嬉しいのか?が紹介されています。 いままでぼんやりと思っていた事柄でしたが、あらためて説明されることで、自分の中でしっかりと腹落ちしました。
FAQの失敗例と成功例の紹介がいくつかあり、2章以降を読み進めるうえで、頭の片隅にあると理解がはかどりました。 また、この失敗例と成功例も含め、1章全体は定期的に読み直そうと思いました。
第2章:FAQを書くための基礎知識
「質の高いFAQ」の具体例の紹介が中心です。
- 質の高いFAQの条件
- 質の高いQ
- 質の高いA
- 質の高いQとAに共通する文
FAQはもちろんですが、分かりやすい文章を書くことや分かりやすい質問文を書くことにも応用できそうです。 ユーザー目線でFAQを作成する大切さも学べます。
第3章:Qの書き方
ひたすらQの書き方が紹介されており、奥深さを感じました。
- Qの質が大切な理由
- Qの質を良くする具体的な方法と例
正直、これらすべてを咀嚼して実際にFAQを作成する作業は、私の処理能力を超えました。 とはいえ、すべての方法を同時に盛り込む必要はないので、サービス自体の内容やユーザー層に合わせて適切に取捨選択する必要があると理解しました。 その作業も含めて、Qの質を高める活動ですね。
第4章:Aの書き方
Aの質を高める内容が紹介されていますが、Qの文にも言及することも多いことにハッとしました。 質の高いAを書くためには、質の高いQを書くことが大切なのです。そのうえで、Aの内容を良くしていくのです。 この章もたくさんの具体例があり、非常に分かりやすいです。
第5章:FAQのガイドラインの作り方
4章まではFAQ自体に焦点があたっていましたが、5章以降は、FAQ全体の話に移ります。
- ガイドラインとはなにか
- ガイドラインが必要な理由
- ガイドラインに記載する内容
- ガイドラインの管理
上記について紹介されています。個人的には「そうか、ガイドラインが必要なのか……」と目からウロコでした。 5章を読んだ後では納得です。
第6章:FAQのカテゴリの作り方
さまざまな切り口があるため、カテゴリ分けはかなり難しいです。 その中でも、ユーザー目線やシンプルであることの大切さを学びました。 カテゴリ分けも具体的な例がいくつか紹介されており、とても参考になります。
また、「カテゴリ分けは、FAQをすべて準備してから行う」旨の文章がかなり印象に残っています。 いくらFAQ自体の質が良くても、カテゴリ分けが微妙であれば、ユーザーが目的のFAQにたどりにくくなるためです。
第7章:FAQの分析とメンテナンス
ソフトウェア開発と同じく、作成して終わりではなく、継続的に改善していくことの大切さが紹介されています。 ユーザーのFAQ利用実績の具体的な分析方法やデータ収取してレポートする仕組みのシステム化の提案もあります。 そのなかで、「完璧なFAQを目指さない」とも紹介されており、驚きました。 心に余裕が生まれた(プレッシャーが減った?)気がしました。
第8章:FAQ制作者が知っておくべきFAQシステムのしくみ
作成したFAQを掲載するシステム(Webサイト)の紹介です。 エンジニア目線だと「そうだよねー」となる内容ばかりです。 どちらかといえば、エンジニアではないプロダクト責任者の方に向けた印象です。 むしろ、プロダクト責任者にとっては最も大切な章になると思いました。
FAQシステムは、昨今はSaaSの利用が多いと紹介しつつも、ベンダーに発注する場合の「要件定義のポイント」も記載があります。
さいごに
自分がいろいろなサービスのFAQを閲覧するとき、「このFAQはこんな感じなのか〜」と考えるようになりました。 良い点はどんどん吸収するとともに、実際に作成するFAQの質を向上させる活動を継続的に実施しようと思います。
個人的に、このような感想を書くのは非常に苦手なのですが、この書籍の良さが少しでも伝われば幸いです。